変わらないもの
風が強く吹き
横殴りに雨が降る
この春は嵐の日が多くて
激しい風雨が過ぎ去ると
不必要なものは洗い流され
美しく澄み渡る空と眩い光
季節の草花の薫りだけが
静かに残っています
クレンジングとデトックスを繰り返し
変わりゆくものと
変わらないものが交錯する時間のなか
心の中の風景や身の回りも
いつの間にかそんな仕分けをしていたように
感じていました
持たない暮らし
ミニマムな生活
シンプルで物の少ない生き方が
今はひとつのライフスタイルとして
好まれていますが
そういった言葉が流行するよりも
かなり前から
手放すことよりも
何を選ぶかを大切にしたい
その想いは
自分のポリシーとして確立されていて
本当に好きなもの
気に入ったものだけを
暮らしの中に残すように心がけながら
自然と物の少ない暮らしに
変わっていきました
持たないことが目的ではなく
そうすることで
自分の周りを取り巻く空気が変わり
風通しが良くなって
視界が開けるように思えるのです
それは形あるものだけでなく
情報や人との繋がり
自分の心の内側も
また然りではないかと感じます
ネット社会
人工知能
SNSの普及etc
ここ十年で時代も私たちの暮らしも
大きく変わりました
これから先もその変化は
留まるところを知らないと思います
けれども
昔から何十年も変わらない
素朴で楚々とした暮らしを続けている人々も
たくさんおられます
自分を知ること
身の丈に合った暮らしを選ぶこと
人生に生かされることのない学びや
肩書ばかりを増やすことで
安心するよりも
知らない土地を旅したり
自らの足で美しい自然に会いに行く
そういった豊かさこそ
いつも自分の中に溢れるほど
両手に抱えていたい
そのために
風通しのよい暮らしや生き方を
選びたい
変わり続けるもののなかで
変わらないものがあるとしたら
自分のなかに抱く
そういった
豊かさの基準だけなのかもしれません
春の嵐が過ぎ去ったあとに
残る花の薫りのように
変わらないものこそ
大切にしたいと思います
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