天衣無縫

新しい年を迎え

はや二週間が経ちました


今年は喪中につき

新年のご挨拶は控えさせていただいておりますが

それとは別に

年明け早々 帯状疱疹にかかってしまい

さらにご挨拶が遅れましたことを

お詫びいたします


思えば 年末の慌ただしさに紛れ

只ならぬ身体の倦怠感を見過ごし

身体と丁寧に向き合うこと

心の声を聴くことを

怠ってしまったことが

大きな一因ではあるのですが


歳を重ねるということは

体調のことだけではなく

様々な変化を受け容れながら

同時に執着を解放し 

身軽になって行かなければ

生き辛くなるものだと

感じていた矢先のこと


新年早々にそのことを

身を以て知らされたような気がしています


幸い年末年始の休暇明けで

医師にかかるタイミングも早く

症状も比較的軽く済み

日常生活に支障のない程度までは

数日で回復することができました


周りを見渡しても

インフルエンザや高熱で

体調を崩されている方も多いようで

日食の新月から満月までは

浄化の時でもあるのかもしれません


寒さ厳しき折

皆様もどうかくれぐれも御自愛くださいませ



2018年9月

大女優の樹木希林さんが永眠されました

『一切なりゆき』という本を手に取ったのは

昨年末のこと


2年前に公開された映画「海よりもまだ深く」が

とても心に残っていたものの

その本を読むまでと読んでからでは

私の中で180度と言って良いほど

印象が大きく変わりました


生きること

家族のこと

仕事のこと

身の回りの出来事やそこに向ける想いを

包み隠さず等身大で綴られた言葉は

飾り気が一切なく

日常の空気をそのまま纏ったように

心にすっと染み入るものでした


中でも老いや死について

深く共感する言葉がそこにはありました


『終了するまでに美しくなりたい、という

理想はあるのですよ。

ある種の執着を一切捨てた中で

地上にすぽーんといて、肩の力がすっと抜けて。

存在そのものが、人が見たときに

はっと息をのむような人間になりたい。

形にでてくるものではなくて、心の器量ね。』


読み終えたときに

ふっと心に浮かんだのは

「天衣無縫」という言葉


野に咲く名もない花の生きざまにように

ただ大地にすっと根を下ろし

美しく咲いて散り

再び大地に還ってゆく姿に重なり


それは

昨年亡くなった祖母が遺した

「無垢」という想いに通じるものでもありました


~形に出てくるものではなくて、心の器量~

その言葉の重みを感じ

今の私にとって

またこれからの人生にとって

とても大切なものであるように思うのです


あらゆる価値観が変わり

色々な意味での幸せの尺度が大きく変わった

平成という時代


その時代の終わりに

大切な言葉を遺して逝かれた

多くの方々のご冥福をお祈りし

これからの時代を生きる私たちは

その言葉を胸に

大切な糧とさせていただけたならと願います


末筆となりましたが

2019年も拙い言葉ではございますが

これまでと変わらず

おつきあいいただけると幸いです

皆様にとって幸多き年となりますよう

心よりお祈り申し上げます