すべてを運にまかせる国で
7月
西日本の広範囲に豪雨をもたらした
激しい梅雨が明け
深い傷跡が残るまま
今年も夏が始まりました
被災された方々や
厳しい暑さの中で不自由な避難所生活を
強いられておられる方々を思うと
一日も早い復興とご回復を願うばかりです
思えば
数十年ぶりの冬の厳しい寒さ
嵐の多かった不安定な春
季節外れの台風や大きな地震
雨を忘れた梅雨からの
被害をもたらすほどの激しい雨
空と大地の間に在って
自然界の営みの中で
私達 人間にコントロールできることなど
なにひとつなくて
むしろ
畏敬の想いを忘れてしまった私たちに
否が応でも思い出させ
知らされているような
行き場のない想いを抱えています
自然の厳しさを目の当たりにするとき
「自然災害」とばかりに報道され
かつて 戦後の私たちが
山を切り拓き 樹木を伐採し
コンクリートで山道を埋め尽くし
必要のない道を作ってきたことが
雨を豊かな土壌に受け止めて
平地に流れ込むことを防いできた
森や林の恩恵を自ら拒んできてしまったことを
どれだけの人が認識しているのだろうかと
その中で懸命に生命を繋いできた
花や樹々たちは
どんな想いで
この惨状を見ているのかと思うと
何とも言えない想いを抱きます
けれども
夏至の頃の空
星たちの煌き
季節の花々はここ最近にないほどの
美しさと優しさを放っていて
何かを壊し
原点に還ろうとしながらも
守るべきものを必死に守ろうとする
そんな姿に大切なことを気付かされる日も
多いのです
ヨーガンレールの遺した著書の中に
こんな一節がありました
『日本はどんどん古いものを壊し
新しいものを建て直していく。
ヨーロッパは古い建物を補修して
使い続ける。
では インドはどうしているかというと
古いものはそのまま
ただ、ものを足している。
それがいいのか悪いのか
インドはすべてを運にまかせている気がするのです。』
~すべてを運にまかせる~
それは
何もかもを自分たちの手で
コントロールしようとしない
できないことを知っているからこそ
選択できる勇気
この言葉に触れた時
私にはそれがとても大切で
この国や人々にとって
ある意味で
これから最も必要な『力』のように
感じました
自然を守る
自然と共存する
そんな言葉すら
もはや空を切っている気がして
なりません
西日本豪雨の被害に遭われた方々の
1日も早いご回復を心からお祈りいたします
* * *
神よ 変えることのできないものを
静穏に受け入れる力を与えてください
変えるべきものを変える勇気を
そして 変えられないものと変えるべきものを
区別する賢さを与えて下さい
ラインホルド・ニーバー
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